産地紹介(地中海地方)

Penedés / ペネデス

D.O.ペネデス

D.O.ペネデスは、長い間革新的なブドウ畑やワイナリーに関わってきました。1970年代には、スペインで最初のステンレス製の設備を使用して低温発酵をする地域となりました。それ以来ペネデスでは、土地の固有品種とフランス系の品種のブレンドで、優れたモダンなワインが造り続けられています。
この地域の標高や土地の景観、そして微小気候などが、様々な品種の良い成育に役立っています。最近では、在来品種の復活、統合的な有機栽培技術の開発、新しい品種や植栽密度などに関する広範な実験や研究が行われています。地域の主要な町ビラフランカ・デル・ペネデスにはワイン博物館があります。

2013年以来、多くの新しい生産者がD.O.に加わり、それまでスティルワインに比べて生産量の少なかった高品質なスパークリングワインの比重が高まっています。 2014年にはこれらのワインに「クラッシック・ペネデス」のブランド名が付けられ、スパークリングワインにより明確な新しい規定が制定されました。「オーガニック」(ペネデス産ブドウのみを使用)と、「レセルバ」(クラッシック・ペネデスを最低15ヶ月セラーで熟成)です。

土地と気候

土地とブドウ畑は地理的にも政治的にも分断されていません。ペネデス地域は広く開放的で、海と山の間、バルセロナとタラゴナの間の中間の長い一帯の土地をカバーしています。

ゾーン

ペネデスのブドウ畑は、内陸の山々と地中海沿岸の小さな平野の間に位置する、カタルーニャ内陸部の中心部にある窪地に存在しています。D.O.はペネデス・スペリオール(内陸山脈の近く)、ペネデス・マリティム(海岸山脈より海側の地域)、そしてこれらの地域の間の平野から成る中央ペネデスの3つの異なるゾーンで構成されています。

微小気候

ペネデスには、様々な高度と海に近いことで特徴付けられる、多様な微小気候が見られます。気候は穏やかで暖かい典型的な地中海性気候。 ペネデス・マリティムは海の近くにあるため穏やかです。ペネデス・スペリオールは降雨量が多く、最高気温と最低気温の差が大きくなっています。セントラル・ペネデスでは2つの微気候が混じっています。

特異点

D.O.ペネデスのワインの多様性は、その地域の特異性に基づいています。味わいや香り、ボディやストラクチャーの幾通りもの多様性は、丘や谷の緑、あるいは地中海の青によって特徴付けられ、地域を構成する様々な気候や土地、そして土壌の違いの結果となって表れています。

ブドウ品種

白ブドウ品種

D.O.ペネデスは、伝統的な品種(チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ)と、地域に導入され長年に渡り良い結果をもたらしている品種(シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン...)で作られた様々な高品質なワインとして広く認識されています。チャレッロを主体にしたワインを標準的な味として、全てのペネデスのワインは、香り、味わい、品質において五感に訴えかける喜びを与えてくれます。
殆どのペネデスの白ワインは若飲みタイプで、瓶詰めの翌年、官能特性がピークに達したときに飲み頃を迎えます。
またペネデスの生産者は、白ワインを樽で発酵、熟成させ、2〜5年以上も熟成する驚くべきワインを造っています。
これらの白ワインは、ソースなしで頂く魚介類、牡蠣などに良く合います。また卵、冷たい料理、新鮮なチーズや軽く炙ったチーズなどにも合います。

黒ブドウ品種

何年にも渡る実験と絶え間ない革新、そして失われた先住民の品種を取り戻し、新しい消費者の傾向に注目するD.O.ペネデスは、五感のための贅沢とも言える上質な赤ワインを幅広く提供しています。
ペネデスの赤ワインは、適切な条件(光、匂い、振動から保護され、15℃以下の一定の温度で保護されている)で保存すると、時間の経過とともに向上します。
ヴィンテージやブドウの種類にもよりますが、4〜5年間は進化し続けます。 テーブルでは、レセルバ、または単に良いペネデスの赤は、赤身の肉やローストに最適です。より芳香の強い赤の場合は、白身の肉とブルーチーズが理想的な組み合わせです。

チャレッロ

チャレッロはD.O.ペネデスの主力品種。華麗で、ユニーク、その土地の本質を表すに足る品種です。

チャレッロの特徴

チャレッロはD.O.ペネデスの固有品種で最も広く栽培されていて、ペネデスを代表するブドウ品種です。栽培面積は7、000ヘクタール以上です。ペネデスのテロワールと気候によく適応しており、野性味のある、着実に成長するブドウ樹で、春先に芽吹きます。干ばつと暑さの両方に強く、その収量と品質は年々バランスがとれてゆき、古いブドウ樹になるほど、良くなっていきます。
樽を使わないチャレッロのワインは、なめらかなミディアムボディのワインで、シルキーなキャラクターです。 フルーティーで香りが良く、ほど良い酸味と素晴らしいアルコールレベルを有します。 熟成を目的としたチャレッロ主体のワインは、フルボディの暖かいニュアンスで余韻が長く、果皮の浸潤や樽または卵型のセメント槽の中での発酵、シュール・リーなどによって高められた顕著な品種表現を持つ、ミネラリィなフィニッシュのワインです。

D.O.情報(ファクトファイル)

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2019年6月現在)およびペネデス原産地呼称統制委員会HPの一部を和訳したものです。

Priorat / D.O.Ca プリオラート

D.O.Ca プリオラート

プリオラートは2009年7月6日に国の認めるところにより、スペインで2番目のDOCa(Qualified Designation of Origination特選原産地呼称)となりました。これは高い品質を長期に渡り一貫して維持して来たことを認められたワインのための、より高い各付けです。それ以前の2000年からは、カタルーニャ政府レベルの承認により同ラベルをつけて販売はしていました。

プリオラートは、力強くて濃厚で素晴らしい赤ワインが、8世紀以上に渡って作られてきた黒い丘の極小な地域です。

タラゴナ県に位置するこの産地は、生産者がワイン作りに新しい技術を適用し始めて、ほんの十年で名声を得ました。80年代の初めに、もともとあった土地の固有品種に加えフランス原産品種が植えられたブドウ畑からは、それ以降「新生プリオラート・ワイン」が生み出され、そのワインは絶賛されました。今日ではこれらのワインは、スペイン国内だけでなく国際的にも最も有名なワインとなっています。

伝統的な部分と新しい部分を併せ持つワインの品質は、独特の微小気候と土壌に基づいています。 プリオラートをヨーロッパで最も注目されているワイン産地のひとつにしたのは、このテロワールと新旧のワインの組み合わせです。

DOCaプリオラートは、タラゴナ県の中心部にある小さな山岳地帯です。 モンサン山脈の山塊が北の境界を形成し、西にはフィグエラ山脈、東にはモロ山脈、南にはシウラナ川の下流がエブロ川に向かって流れています。シウラナ川とその支流はこの地域の主要な地理的動脈であり、尾根と山腹の地理的な曲線によって一連の谷ができています。 地域行政的には「プリオラート」と呼ばれるより広い行政区域の一部であり、そこにはプリオラートのDOCaではない地域も含まれます。

DOCaプリオラートの面積は17.629haで、そのうちの1,916haにブドウが植えられ、600人以上の栽培農家がいます。 プリオラート郡の23の自治体のうち9つがDOCaプリオラートを形成しています。これら9つの自治体とは、ラ・モレラ・デ・モンサン(スカラ・デイを含む)、グラタリョップス、ポレラ、ポボレダ、トロハ・デル・プリオラート、ラ・ビレーリャ・アルタ、ラ・ビレーリャ・バイシャ、エル・リョアール、ベルムント・デル・プリオラートです。 また、DOCaプリオラートの範囲には、ファルセット自治体の北部(マソス・デ・ファルセット)とモラール自治体の東部(レス・ソナレス・デル・モラール)も含まれています。最初の6つはプリオラートを作り上げた、スカラ・デイのカルトジオ修道院が構成した自治体です。他のものは1932年に作られ、DOCaプリオラートの現在の領域を形成しています。カルトジオ会の修道士たちによって支配され、栽培やワイン造りが推進、促進された結果、ブドウ畑は拡大し、ワインの品質が向上して、この地域は世界的に有名になりました。

歴史

プリオラートという名前は、古くからワインに関連付けられて来ました。この産地の土壌、気候、そして伝統的な方法でワインを製造してきた人々の努力は、現在では品質へのニーズに適応した新しい技術によって支えられており、それらの全てが、ユニークで比類なき製品、「プリオラート・ワイン」をもたらしました。(訳注 Prior,Prioratとは修道院という意味)

スカラ・デイのカルトジオ会の修道院は、DOCaプリオラートのワインとワイン造りの発祥の地です。物語は、アルフォンス二世がプロバンスからカタルーニャに定住するカルトジオ会のための理想的な場所を探すために、2人の騎士を送ったことから始まります。彼らがモンサン山脈の麓に辿り着いた時、そのあまりの景観の美しさに驚き、土地の羊飼いにその訳を訪ねたところ、羊飼いは、その昔、谷で起こった超自然的な現象―最も高い松の木から、天使たちが天に昇った階段が現れたーという話を彼らにしました。

その土地は修道会に提供されました。1194年に設立されたカルトジオ会は、その松の木があった場所に聖マリア用の祭壇を造りました。こうして物語は修道院に名前を与え、強く地域に根ざしたアイコンを形成しました。

修道院僧は修道院でワインを作り、霊性と労働を生活に取り入れました。そういった意味でプリオラートのワインは神秘的なワインと言えるかもしれません。

今日、カルトジオ会修道院の廃墟は、謎めいた雰囲気で訪問者を魅了します。この廃墟の上には様々な地質層が山の頂上まで重なっていて、灰色、黄土色、黄色から茶色と赤まで、様々な色調が織りなす様はさながら神秘的な階段のようで、それは青空に舞う天使のような白い雲へと繋がっています。

1000年近くの間、9つの小さな村々が、モンサン山脈の麓に点在するスレート土壌の斜面の間に存在していました。住人でありワイン生産者である彼らはその間ずっと、斜面で土地を形成してきました。教会の財産を没収したメンディサバル法(1835年)のおかげで、自分たちの畑となったぶどう畑に力を注ぎ、ブドウ栽培者たちは彼らの尊厳を取り戻しました。

その繁栄も長くは続かず、この地にフィロキセラが到達しました。さらにプリオラートにとって悲惨なことに、カタルーニャにおける繊維産業の興隆によって労働力は都市部に奪われました。そんな中で新しいブドウが再び植えられることはありませんでした。ごく一部を除いて。そしてそれが幸運にも今日まで生き延びて来たのです。

現在70歳から80歳になるブドウ栽培農家の人々が、この土地に残って伝統的な農法を守ってきたおかげで、プリオラートのワイン文化は維持されてきました。
ここ数十年の間に、手ごわいポテンシャルを持ち、複雑で豊かな、保存された景観に介入することが可能になりました。 そして1980年代の終わりには、品質と名声を回復することを目的に、知恵、景観、伝統と、新しい起業家精神とが結びついた、新しい繁栄のサイクルが始まりました。

ブドウ畑の修復は、土地の歴史に忠実であることを確認しながらゆっくりと行われました。それは伝統的な文化の発展と、農地の過去の遺跡、そして活気に満ちた自然を尊重し、効率的な植え替えと守るべき魅力と一緒にした興味深い組み合わせでした。

地域

その土地の景観について語ることは、複雑な要因や様々な視点があることから、常に困難な作業です。

しかし、プリオラートが持つのは、ただ一つ、その独自性です。例え同じような山々や農地としての特徴を持つ場所が他にあったとしても、それとは異なる特徴を持つ非常にユニークな土地であること、そしてそこにいることに気づくでしょう。

最終的にDOCaプリオラートの全体像を定義するのは統一性です。すべての囲い地、丘の中腹、小川、農場、庭園、小道、石造りの納屋や農家は、プリオラートの本質を定義する特徴や本物の手触りを持っています。私たちはあなたがこの無二の場所が、土地の性質、伝統そして壮観な風景を持っている場所だと気づくことを知っています。それはスレートの土地であり、山から穏やかな尾根に沿って急な丘陵地帯まで走っています、どのようにしたら、このような土地にブドウを植えることが可能であったのでしょう。

DOCaプリオラートは、コンパクトで明確な景観を形成しており、壮大な山の円形劇場のような形状で、スレート土壌の斜面を持つ丘がモンサン山脈の麓にまで広がっています。農業的には最近までほとんど無傷のままでした。
この地域の曲がりくねった地形は、多くのブドウ畑が「コスター」(カタルーニャ語で急斜面を意味する)として機能していることを意味します。実際ここには他では類を見ない急勾配のテラス状の畑が作られています。
結果的にこの景観は、プリオラートの決定的な特徴である独特の個性をブドウ畑に与えているのです。
DOCaプリオラートの大部分は、特別な自然保護計画(PEIN)、またはナチュラ2000ネットワークのいずれかとして、地域の保護を受けています。またその一部は、モンサン山脈自然公園に含まれています。

ブドウ品種

DOCaプリオラートのDNAと言えるブドウ品種がガルナッチャとカリニェナです。
ブドウ栽培は、低いところではベルムント・デル・プリオラートとエル・モラールの各地区で海抜100メートルから、高いところではラ・モレラ・デ・モンサンとポレラの750メートルまでで行われています。ブドウはほとんどの場合15%を超える勾配を有する斜面で栽培されていますが、一部の畑では勾配は60%にも達しています。

この地域の曲がりくねった地形は、多くのブドウ畑が「コスター」として機能していることを意味します。実際ここには他では類を見ない急勾配のテラス状の畑が作られています。これらのテラスのいくつかはとても狭く、2列のブドウ樹のためのスペースしかないので、機械に頼ることができません。この景観が、プリオラートの決定的な特徴である独特の個性をブドウ畑に与えているのです。

ここで植えられたブドウは土壌とその地域特有の気候により苦しむ傾向にあり、結果として収穫量は非常に低くなります。ブドウ樹1本あたり平均1kg未満です。しかしこれは、この地域で生産されたワインが非常にユニークな個性を持っていることを意味します。

収穫期間は長く続く傾向があります。ベルムントとエル・リョアールで9月中旬頃から始まり、ポレラとラ・モレラ・デ・モンサンでは10月末から11月の初めまで続きます。よく熟したブドウの長い発酵期間は、ワイン醸造家がブドウから豊富な成分を得ることを可能にし、また果皮のマセレーションを総合的に促進します。

村々(サブゾーン)

DOCaプリオラートは、12のブドウ栽培地域、異なる村々によって構成されています。その各村は産地形成のために、地理的、環境的、気候的、社会的、歴史的及び経済的ブドウ栽培変数などの要件を考慮しています。これらの情報を通してワインの社会的ルーツと各村の文化的ルーツが特定され、現存する行政区分の枠を超えたDOCaプリオラートのサブゾーンの社会的なアイデンティティが確立していきます。

ロス・ビノス・デ・ビラ(村名付きワイン)

同じ村のブドウから作られたものであるロス・ビノス・デ・ビラ(Los vinos de villa)は、これらのワインと土地の結びつきを表現しています。 2013年の初め、20以上のワインがロス・ビノス・デ・ビラとして登録されました。これはDOCaプリオラートのワイナリーの品質と信頼性へのこだわりの好い例です。

このプロジェクトの目的は、この原産地呼称の村々のアイデンティティを強化し、生産されたワインとの関係を再確認することで一歩前進することです。実際、専門家によって最も評価されているプリオラートのワインの特徴の1つは、原産地、つまり土壌(テロワール)に対する高い忠誠心です。

町から町へ、お祭りからお祭りへ。DOCaプリオラートがあなたを招待します。
地元の生活様式はその地域にアイデンティティを与えます、そして、それらを保存しているDOCaプリオラートの統制委員会も彼らの進歩と改善を支持します。この理由で、DOCaプリオラートは産地のそれぞれの町のワインを宣伝する様々な見本市や試飲会を行う組織について発表しました。DOCaプリオラートの統制委員会、地元の議会、ワイナリーはさらに一歩前進したいと考えており、ワインを一般に公開する目的で、年間を通じて幅広い活動を展開することに同意しました。

「土地の名前」プロジェクト

素晴らしいワインは、特権的な場所の厳格で純粋な果実です。絞り込むほど、アイデンティティはより正確になります。これは素晴らしいワインを定義するために不可欠です。この文脈においてDOCaプリオラートは、透明性、謙虚さ、かつてなくなったものの復活という3つの主な価値を強調しながら、ワイナリーで生産されるワインのこの新しい認定を推進しています。

ワインの分類  区切る土地の広さによってワインを分類しています。

DOCaプリオラートワイン

DOCa プリオラート全体をカバーするワイン。このDOCaの一般的なワイン栽培の個性と典型を反映しています。

Vi de Vila ビ・デ・ビラ(村名ワイン)

村の景観の独特なアイデンティティ、ワインの産地の多様性を総合的に伝えます

Vi de Paratge ビ・デ・パラッテ(区画ワイン)

さらに純粋な本質、地形学、地質学、そしてより限定された微小気候に関連した性格を示しています。

Vinya Classificada ビーニャ・クラシフィカーダ  (認定ワイン)
ほかのワインとは区別され特に優れていると認定されたワイン

個別に瓶詰めするに値する、卓越した美徳の個々のワイン生産から生まれています。

Gran vinya classificadaグラン・ヴィーニャ・クラシフィカダ(特別認定ワイン)

自然と歴史の産物が示す稀有な成功例。うつろいやすい自然の純粋な気まぐれと、伝統を生かし、現在まで守り続け、時を経ても変わることなく私たちの時代の最も卓越したぶどう界の宝石(ワイン)に与えられるカテゴリー。

トレーサビリティ

DOCaプリオラートの統制委員会は、プリオラートのすべてのワイン生産地(畑)を記録化しました。その理由は、与えられた資格に従って、すべてのワイン、すべての畑とすべてのぶどうの由来を保証するためです。したがって、DOCaプリオラートの技術者は、トレーサビリティの厳密な管理のおかげで、現在の分類で確立された由来と規則がすべてのワインに適用されることを保証できます。

今日、DOCaプリオラートには、575のワインメーカーと109のワイナリーによって栽培されている、わずか2,000haのブドウ畑があります。ブドウ栽培とワイン造りは、原産地の村々の経済活動の主軸となっています。

D.O.情報(ファクトファイル)

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2019年5月現在)およびプリオラート原産地呼称統制委員会HPの一部を和訳したものです。

Alella / D.O. アレーリャ

D.O. アレーリャ

DOアレーリャの花のような白ワイン、そしてあまり知られていない赤ワインは、過去40年間の都市開発によって縮小を余儀なくされてきた非常に古いブドウ畑から生まれています。
今日のD.O.は1956年の創設時の3分の1の大きさにすぎませんが、1989年には沿岸部の山脈の斜面に広がるように拡張されました。
1980年代には、一連の新しいブドウ品種が導入されて、ワインは近代化し、新しい可能性が明らかになりました。 ワイナリーは、海に向かう階段状の斜面に築かれた都市型の農場です。
どのブドウ品種を栽培するか、そして畑のどの部分でどの種類のワインを生産するかは、畑の高度によって決まります。

ワインの種類

D.O.アレーリャのワインには以下のものがある。
通常のワイン(スティルワイン)の白、ロゼ、赤ワイン以外に、地中海沿岸の伝統に沿った以下のリキュールワインも生産されている。またD.O.アレーリャの中でスパークリングワインの製造も許可している。

ビノス・デ・リコール(リキュールワイン)

ランシオ(酸化させたワインという意味):
ガルナッチャ・ブランカ、マカベオ、またはガルナッチャ・ティンタから造られる伝統的な上質なワイン。白ワイン用のオーク樽で酸化をさせる。アルコール度数は14%º以上でなくてはならない。
ミステラ:
伝統的な高品質のワインで、あらゆる白ワイン用の品種から造られる。アルコール濃度が12%になった時にモストとフロールを分離してからワインを濾過する。その後アルコールを加え、1日1回、1週間かけてアルコール濃度が15%になるまで取り除く。最大アルコール濃度は20%。
ビノ・デ・ドゥルセ・ナトゥラール(天然甘口ワイン):
伝統的なワインで、1ℓ当たり250g以上の糖分が含まれており、その一部を発酵させている。アルコール濃度は最低12%で、少なくとも15%は必要、最高20%まで。

ビノ・デ・エスプモセス・デ・カリダ(高品質スパークリングワイン)

認定ブドウ品種から造られたワインで、最低アルコール濃度は10.8%、最高は12.8%。伝統的な瓶内2次発酵によって造られる。高品質スパークリングワイン製造のためのベースワインとして使用することができる。(訳注:D.O. CAVAの製造もおこなわれている)

ビノ・デ・アグハ(微発泡ワイン)

すべての白ブドウと黒ブドウ品種から造られる微発泡ワインで、最低アルコール濃度は10.5%で最高は12.5%vol。発酵中に発生した炭酸が一部残っている。

地理的エリアの区分

D.O.アレーリャのワインの生産に適したブドウ栽培地域は、この条項に記載されている市区町村または地理的区域に位置する登録ブドウ畑の区画で構成され、本仕様書の第6章に示される認可ブドウ品種が植えられる。

気候

海沿いの地域(マレスメ)の気候は地中海性気候。年間降水量は約550mm~800mmで、北部のモンテネグレ地域で最高値、南部の沿岸都市で最低値に達する。雨季は秋で、乾季は夏。冬の気温は平均8℃~10℃、夏は平均22℃~23℃の穏やかな気候で、年間気温差はあまり大きくない。11月から3月にかけて凍結することもある。
海側には、沿岸で保護された地中海と平行に走る回廊があり、気温が非常に高くなる夏の間この回廊が内陸部の冷たい風を遮り、海風を保っている。内側の斜面では朝霧が発生し、西側の山脈に集まる。夏には2つのエリアを結ぶコル・デ・パルペス、フエンテ・デ・セラ、そしてラ・コンレリアという3つの自然な回廊を海風が通過し、ブドウ畑をリフレッシュする。

歴史と文化

アレーリャのワインの最もミステリアスな魅力とは、海と山の間にある小さなブドウ畑の存在であり、長年に渡り外部の好奇の目から隠れ、大都市圏の拡大に対する立派で不平等な戦いから生き伸びてきたことである。
アレーリャのワインには長い歴史があり、常にそうであった訳ではないが、カタルーニャのワイン製造において重要な意味を持っていた。ローマ時代にはすでによく知られ愛されており、プリニオとマーシャルによってレイエタンワインとして引用されていた。バレスのワインは中世にはバルセロナで好まれ、後にカタルーニャから世界へと輸出される最も品質の高いワインの1つとなった。これにはスペインの植民地に多くのカタルーニャ人がいたことも影響している。 今日このワインの伝統はすべて生きており、D.O.アレーリャのワインは、その地が本物の地中海の町であり続けるという意志を象徴している。それ故ワイン生産者達にとって貿易の難しさ等長年に渡る様々な事件よりも、最も強調すべきは19世紀末にブドウ畑を完全に壊滅させたフィロキセラの害についてだ。
イベリア半島で最も小さくそして最も古いD.O.の一つであるアレーリャは、近代化され、栽培と醸造における新しい技術やシステムを取り入れているが、同時にこの地域のワインは、品質としっかりとした個性によってのみ真の普遍的な側面を見出すことができるという基準を保っている。
D.O.アレーリャはバルセロナの北部に位置し、320haの面積を占め、海に近いマレスメと、コルディレラ・リトラルの反対側に位置するバレス・オリエンタルの2つの地域から成る。これらの地域の個性とブドウ畑の栽培は、どちらもローマ時代から今に続いている。
経済は伝統的に農業と漁業により成り立っている。中でもブドウ栽培と花の栽培が際立っており、カタルーニャのこの部門の生産の半分以上を占めている。工業化、特に織物も経済に強い影響を与えている。
食に関してバレス・オリエンタルは通過の土地と言える。人々の流れは非常に多様な料理をこの土地にもたらした。
D.O.アレーリャに加えて、ガンセットのインゲン豆の原産地呼称であるバレス・マレスメ保護原産地指定にも注目する価値がある。
アレーリャのブドウ畑からは、長い歴史が正当化するであろう多くのことが言える。並外れたプロセスを経て近年近代化されたが、しかしそれよりも現在は都市部のブドウ畑の特徴に注目すべきであろう。このような側面にもかかわらず、そのブドウ畑は生き残り、典型的に、規則正しく、毎年、土壌、水、土地を変え続け、アレーリャのワインのような輝く魅惑的な製品に働きかけて来た。
他の何よりもアレーリャのワインは常にバルセロナ料理の伝統に組み込まれて来たが、それは主に今世紀初めに今日の偉大なバルセロナの基礎を築いた、生まれ変わり進化し続けるバルセロナである。その頃の人々はアレーリャのワインの名声に敏感で、それをその時代と街の象徴としたのだった。
伝統と現代性、過去と未来、田舎と街、海と山を組み合わせた今日のD.O.アレーリャのワインは、象徴であることに加え、エレガントで香りの良い、クリスタルに輝くワインであり、北部の穏やかさと地中海の情熱を併せ持った、すばらしく調和のとれた例外中の例外と言えるものだ。

D.O.情報(ファクトファイル)

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2018年5月現在)およびマンチュエラ原産地呼称統制委員会HPの一部を和訳したものです。

地中海地方その他の産地(カタルーニャ)

カタルーニャ州には小さくて魅力的な原産地呼称が集まっています。地中海沿岸では、タラゴナの北部にありしっかりとした骨組みと濃厚な果実味の赤ワインで注目されるモンサンが新しいDOとして独立、2002年に中央政府の認定を受けました。内陸部の山中の産地で、無名ながらも将来の期待されるテラ・アルタではランシオワインから軽いフレッシュなタイプのワインが造られるようになり、コンカ・デ・バルベラではパレリャーダ100%から香りの良い辛口の白ワインやガルナチャウル・デ・リェブレから造られるクリアンサが注目され始めています。運河と大規模な土地開発によって誕生したコステルス・デル・セグレでは早くから外来種を積極的に登用しています。その他、カタルーニャの聖地モンセラット山のふもとでチャーミングなワインを産出するプラ・デ・バジェス、またバルセロナの北の地中海沿岸には、爽やかな白ワインを産するアレーリャエンポルダがあります。いずれの産地もこの地方の固有種とともに外来種を栽培し、それぞれの長所をうまく組み合わせた新しいスタイルのワインを造り出すようになってきています。また、カタルーニャ地方に点在する原産地呼称以外の産地をカバーするために、2001年にDOカタルーニャがスペイン中央政府から公式に認められ新たに誕生しました。

Jumilla & Yecla / フミーリャとイエクラ

ムルシア州のフミーリャ、イエクラのDOに関心が集まり始めています。

白ぶどう品種
メルセゲラ
アイレン
ペドロ・ヒメネス(フミリヤのみ)

黒ぶどう品種
モナストレル
ガルナチャ
カリニェナ(マスエロ)
センシベル(フミーリャのみ)

フミーリャ・イエクラ

ムルシア州の北部にあるフミーリャは、夏は40度に達するほど暑く、冬はしばしば氷点下になるほど寒さが厳しい大陸性気候の土地で、年間3,000時間もの日照に恵まれますが、降雨量はわずか300ミリと乾燥しています。この苛酷な自然環境のもと、アルコール度数の高いワインが造られ、伝統的にほかの地域のワインを力強くするためのブレンド用(バルクワイン)として売られたり、あるいは低価格の日常消費用のワインの産地と評されていました。しかし、1980年代末になって、ほかの地域から100年あまり遅れてこの地域にフィロキセラ禍が発生し、ぶどう畑の多くが改植を余儀なくされたことがきっかけで、ワインの品質向上のためにぶどう栽培の改善が始まりました。

この地域のぶどうはほとんどが地元原産のモナストレル(フランスではムールベードルと言われる)で、これに加えカベルネ・ソーヴィニヨンが認定され、メルロシラーも試験的に一部のワインに用いられています。赤とロゼのワインにはモナストレルを最低50パーセント使用しなければなりません。まだまだ多くのピエフランコ(接木していないぶどうの木)が残るこの地域、大きな潜在性をもつモナストレルを主体とした、品質の高い、独自の個性をもつワインの産地へと大きく転換してきました。

イエクラはフミーリャに隣接し、スペインで唯一、ひとつの町(イエクラ)からなる原産地呼称です。フミーリャ同様、大陸性気候で、やはりモナストレルを中心にカベルネ・ソーヴィニヨンメルロを用いて、良質な熟成タイプの赤ワインが造られるようになり、隣接する周囲の大産地の陰から抜け出しつつあります。

Valencia / バレンシア

地中海沿岸のリゾート地、バレンシア州の注目されるワイン産地

バレンシア

地中海沿岸で、果樹栽培の盛んなバレンシアは約17,000ヘクタールのワイン産地が広がっています。メルセゲラマルバシアから辛口の白ワイン、モスカテルからはとても軽やかで新鮮な味わいの甘口ワインが造られています。赤ワインの主要な品種はモナストレルガルナチャで、軽やかさのあるものからミディアムボディの若飲みタイプと、カベルネ・ソーヴィニヨンテンプラニーリョから造られる熟成タイプのものがあります。

Alicante /アリカンテ

バレンシア州の最南端にあり、地中海に面した高台にある地区と、ムルシア県と接している内陸部と二つに分かれています。地域で造られるワインの大半はリゾート客たちによって地元で消費され、また地域伝統のフォンディヨンと呼ぶ酒精強化タイプのワインもありましたが、ワイン産地としては特に知られていませんでした。
ところが1990年代に醸造設備や技術投資が行われ、内陸部では地元品種のモナストレルなどのほか、カベルネ・ソーヴィニヨンシラーなどの外来種を用いて造る新しいスタイルの高品質ワインが次々に登場しました。また高台の地区では、洗練された味わいのモスカテルの甘口デザートワインが登場し、海外へも輸出されるようになってきました。

Utiel-Requena / ウティエル・レケーナ

バレンシアの西、内陸に入った海抜700メートルの台地上を中心に約40,000ヘクタールものウティエル・レケーナのワイン産地が広がっていますが、長年バレンシアなどの陰に隠れていました。この地域でのみ栽培されてきたボバルが全体の75パーセントを占め、この品種とともにガルナチャをブレンドして造られるロゼワインや赤ワインがありますが、ボバルに代わってテンプラニーリョの栽培が奨励されるようになりました。

地中海その他の産地(ブーリャス)

気候、地勢とも隣接したフミーリャに近い。同様、高樹齢のモナストレルを中心とした高級ワインつくりにようやく着手し始めた。今後の活躍が期待できる地域。

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